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スポーツ推薦の課題(都政新報教育支援の現場から)

杉浦孝宣は一般社団法人 不登校引きこもり予防協会としても活動しております。
杉浦への講演依頼・不登校相談も承っております。


教育支援の現場から【7】

~スポーツ推薦制度の課題~

今回は高校受験におけるスポーツ推薦について話したいと思います。そろそろこの時期になると、私立高校の推薦試験で高校の進学先を決めたという声が聞かれます。特にスポーツ推薦の場合、早いケースでは10月に、遅くても12月中には続々と合格者が発表されます。しかし、NPOの窓口には、私立スポーツ推薦で高校に進学した生徒の親御さんからの相談が頻繁に寄せられます。
部活動の盛んな私立校は、1学年に何十人という単位でスポーツ推薦による生徒を募集します。どのスポーツでもそうですが、実力のある者はピラミッドの頂点に上りますが、当然その結果、多くの部員がレギュラーになれないことになります。中途半端に運動能力があったために、自分の偏差値以上の高校にスポーツ推薦で進学した生徒は、勉強でも苦戦を強いられ、部活動でも実力者には勝てないという二重の壁に突き当たります
合格した当時はスポーツのおかげで偏差値の高い高校に入れたと、嬉しい気持ちでいっぱいですから、こうした厳しい現実を想像することは難しいのです。部活動がうまくいっていれば問題ありませんが、なかなかレギュラーを取れない現実に気持ちが折れたり、最悪の場合、怪我などで復帰が絶望的になってしまうと、これは問題です。私どもが相談を受けた方は、口を揃えて 「学校に居辛くなってしまった」 と言います。スポーツ推薦で進学するど、部活動がうまくいかない限り、退学の危険性が非常に高くなってしまいます

部活動を続けられなくなったら

NPOでは関連事業として通信高校を併設していますが、その高校にも、スポーツ推薦で入学後、部活動で怪我をしてしまい、退学することになってしまった生徒が転入してきました。彼は全寮制の高校で野球をしていて、野球が生活のほとんどすべてでした。もともと足首が弱く、何度も怪我を繰り返した結果、ついに野球を断念することにしたそうです。野球漬けだった高校生活からのドロップアウトは、彼を学校に居辛くさせました。多くの通信高校はほぼいつでも転入を受け入れていますし、教科試験もないところがありますので、そういった生徒の受け皿となりえます。しかし、スポーツ推薦で入学を決めた生徒は、中学3年生の秋から実質勉強をしなくなってしまうので、都立などの全日制に転校したくても学力が足りないという事態に陥るケースも多くあります。
もう一つの関連事業で、不登校・再受験・転入希望者のための学習塾も運営していますが、そちらには、こうした全日制への転学を希望する生徒がやってきます。彼らの多くもやはり部活漬けの日々を過ごしており、学力は低く、小学校の範囲からやり直す生徒も少なくありません。当然ながら転学の道は険しいものになります。青春時代をスポーツに費やし、仲間とのかけがえのない絆を育むのは素晴らしいことだと思います。しかし、これからの長い一生を左右する大切な時期に、弱冠15歳ほどの若者がたくましい覚悟を持って進路を決定することは、とても難しいことなのだと痛感しています。
スポーツ推薦制度に関しては、高校側にも問題はありますが受験者も注意しなければなりません。スポーツ推薦での高校進学は、よくよく考えて決定しないと、多くの中退者を作ってしまうことにもなるのです。

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