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インタビュー 10年目を迎えた「桐ヶ丘高校」の課題

杉浦孝宣は一般社団法人 不登校引きこもり予防協会としても活動しております。
杉浦への講演依頼・不登校相談も承っております。


都立桐ヶ丘高校 中川校長

 「楽校」。楽しく学ぶことのできる学校としてチャレンジスクールの第一号として9年前にスタートした都立桐ヶ丘高校。多部(3部)定時制、単位制、総合学科という仕組みに加えて、不登校を経験した生徒を受け入れ、元気にさせる工夫が随所にみられる。10年の節目を前に、その現状と展望を中川惠校長先生に聞いてみた。

75%が小中学校時代に不登校経験

―学校の雰囲気はどんなものでしょうか。
 定時制といっても全日制と違いはないと思います。以前は夜間に授業をする定時制が中心でしたが、都立では新宿山吹高校ができてから、昼間定時制も開校しています。学校の雰囲気としては静かな学校だと思います。
―その静かな雰囲気というのは、不登校の生徒を多く受け入れているからでしょうか。
 そうですね。約75%が小中学校時代に不登校経験者です。ですから、全体的には物静かな感じの子が多いですね。1学年の定員が150人で、男女比は110:30くらいです。残り定員枠10人は9月募集枠です。

―生徒の出席率はいかがですか。
 平均してみると、6割弱ですね。学則では一応在籍年数は6年までとしていますので、6年経っても卒業単位がそろわない生徒については、退学ということになります。
―ほかのチャレンジスクールよりも、辞める生徒は少ないように見えますが。
 それは、6年目で辞める数が多いということだと思います。途中で辞めないけれども、そのまま在籍の最長年限までいて、そこで退学、または転学ということになる生徒がいるということです。この点は、当校でも課題だとは思っているのです。ちなみに卒業率は約7割前後を推移しています。
石をどけたら役割を果たせない

―クラスはあるのですか。
 15人単位で「ホーム」と呼んでいます。それを担任1人が見るというような形でやっています。全員対象でやっている行事は、1泊2日のアットホームキャンプと3年次の研修旅行です。アットホームキャンプは入学直後で9割くらいの生徒が参加しますが、研修旅行はやはり少ないですね。
―授業で気を使っているところはありますか。
 あまり当てないで欲しいとか、答えるのが嫌だとか、そういう生徒もいます。でも当てないのが本当にいいのかどうか、私には疑問です。社会に出たら、ハードルを越えなければいけないことがあるし、壁にもぶち当たります。つまずくところを見ていられなくて石をどけてあげたら、チャレンジスクールの役割を果たせないのではないかなと思います。
―大学や専門学校への進学アプローチはどのようにされているのですか。
 進路指導は、非常に熱心です。総合学科ですから、キャリア教育の観点で入学当初から積極的に取り組んでいます。卒業後の進路としては、大学、短大への進学希望が多いです。今のところは、指定校推薦とAO入試がほとんどです。
キャリア教育と生徒の活性化

―今後の取り組み方針などをお聞かせください。
 卒業生の進路についての改善を考えています。昨年度の卒業生は94人ですが、就職が8人、あとは大学と専門学校への進学などのですが、残りは「その他」でそれが40数%です。その他というのは進路未決定の状態で卒業している状態です。今までもキャリア教育は積極的に取り組んでいたのですが、出口での結果をきちんと示せるようにしたい。そのためにはやはり生徒が元気じゃないといけないと思っていますから、生徒の学校生活の活性化ということを考えています。その二つがこれからしばらくのテーマではないかと思います。当校も入試倍率が7倍とか8倍の頃はプラスの選択ができる生徒が入っていました。これをやりたいという気持ちを持った生徒です。それが2倍くらいになった今は、やはりどちらかというと負の選択ですね。これもやりたくない、あれもやりたくない。今までは不登校だったけど、この学校だから来られるようになった、そういう生徒が増えてこないと、チャレンジスクールも存在意義を問われることになると思います。

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