認定NPO法人高卒支援会 会長 杉浦孝宣
第1章|東京で不登校の相談が急増している現状
東京都ではここ数年、不登校の相談が右肩上がりに増え続けています。特に2025年に入ってからは「学校に戻れない」「昼夜逆転が治らない」「通室型フリースクールも続かない」という声がSNS上でも急増しました。
当会でも、9〜11月の3か月間だけで東京からの相談件数は以下の通りです。
- 9月:24件
- 10月:31件
- 11月:37件
面談件数も29〜31件と高止まりしており、相談は増えているにもかかわらず、家庭内の動き出しには時間がかかっています。これは、相談の大半が「ステージ3〜5」に相当し、オンライン面談だけでは改善が難しいケースが増えているためです。
| 9月 | 10月 | 11月 | |
| 相談件数 | 24 | 31 | 37 |
| 総合入会件数 | 4 | 2 | 1 |
| 総合面談件数 | 18 | 29 | 31 |
| 書籍からの相談 | 0 | 0 | 1 |
| 内容 | アウトリーチ支援 | アウトリーチ支援 | 通信制高校 |
| フリースクール | フリースクール | フリースクール | |
| 通信制高校 | 通信制高校 | 引きこもり | |
| 引きこもり訪問支援成功数 | 1 | 1 | 1 |
| 主な地域 | |||
| 東京 | 20 | 19 | 23 |
| 神奈川 | 1 | 2 | 2 |
| 埼玉 | 2 | 2 | 1 |
| 千葉 | 0 | 0 | 1 |
| その他地域 | 0 | 5 | 4 |
| 不明 | 1 | 0 | 0 |
| 合計 | 24 | 29 | 31 |
また、SNSでは次のような投稿が目立ちます。
「どこの相談機関に行っても“様子見ましょう”で終わってしまう」
「学校の先生に相談したけれど、対応できないと言われた」
「フリースクールも試したけど、本人が行かない」
東京は相談先が多い一方、“実際に家庭を動かす支援”が不足しているという構造的課題があります。本章では、その背景をさらに深く掘り下げていきます。
第2章|なぜ東京の不登校は「相談だけ」では動かないのか
東京には行政系相談窓口、スクールカウンセラー、民間のオンライン支援、フリースクールなど多くの選択肢があります。しかし、ステージ3以上の不登校は「相談だけ」では根本改善が難しいのが現実です。
理由は大きく3つあります。
- 生活リズムの乱れが重度化している(昼夜逆転・スマホ依存)
- 家庭内でのコミュニケーションが断絶している
- 本人が大人と話すこと自体を避けている
実際、9〜11月の訪問支援“成功数”が、毎月1件のみという点は非常に象徴的です。相談件数は増えているのに、実際に家庭訪問につながって改善したケースはごく一部です。
これは、相談者の多くが「ステージ3〜5」にいるため、次のような構造が生まれます。
- オンライン相談では信頼関係が築きにくい
- フリースクールは“来られる子しか来ない”
- 親だけに対応を任せると家庭が疲弊する
- 訪問しなければ動けない子ほど表に出てこない
東京は選択肢が多いように見えて、本当に必要な支援が届きにくい地域でもあります。だからこそ家庭訪問・親支援の2軸が不可欠なのです。
第3章|ステージ判定で見る「東京の不登校の深刻度」
不登校と引きこもりは、以下の「ステージ1〜5」で明確に分けられます。
- ステージ1|学校に行きづらい(初期)
- ステージ2|欠席が続く(短期不登校)
- ステージ3|昼夜逆転+外出拒否(中期)
- ステージ4|家庭内で孤立(長期化)
- ステージ5|強い引きこもり(半年〜数年)
当会に東京から寄せられる相談の7割以上がステージ3〜5です。これは、相談や面談だけでは改善しない「行動が止まった状態」にあり、次のような特徴が出ます。
- 昼夜逆転が固定化し朝起きられない
- 食事以外は部屋から出ない
- 親子の会話がほとんどない
- 学校だけでなく病院・カウンセリングも拒否
- 進路の話題を出すと怒る・黙る
この段階になると、オンライン相談や登校促進だけでは改善が難しく、家庭訪問が必要な理由がここにあります。
第4章|東京での“訪問支援”が必要とされる理由
東京は交通の利便性が高いにも関わらず、実は“家庭訪問を前提とする支援”は多くありません。多くの機関は「来られる前提」で支援を設計していますが、ステージ3〜5の子はそもそも外に出られません。
家庭訪問の必要性は次の3点です。
- 本人はまず部屋から出られないため、支援者が行かないと関係が作れない
- 生活リズムは自宅環境と密接に関わるため、家庭内を見なければ改善できない
- 親の対応の癖(怒る・諦める・避ける)が、子どもの状態を固定化している
“来てくれる支援”が必要なのではなく、“来なければ始まらない支援” が必要なのです。
第5章|親のコーチングが東京の家庭で求められる背景
東京の保護者の方から最も多い相談が「どう接していいか分からない」という声です。共働き・ワンオペ育児・高学歴ゆえのプレッシャーなど、東京特有の要因が親の不安を増幅させています。
親の対応が変われば、子どもの行動は必ず変わります。逆に、親の混乱状態が続けば子どもは動けません。
そこで、当会の姉妹団体である一般社団法人 不登校・引きこもり予防協会が提供する「親のコーチング」が重要になります。
- 言ってはいけない言葉/言うべき言葉
- スマホ・ゲームとの距離感
- 叱るのではなく“関係を作る”アプローチ
- 親の不安のコントロール方法
- 家庭内の役割分担の整え方
「子どもを動かす」のではなく、「親が変わることで子どもが動く」──これがコーチングの本質です。
第6章|高卒支援会が行う“動く支援”──東京で差別化される理由
高卒支援会は40年以上の支援で1万人以上を社会復帰へ導いてきました。その中心となるのが、以下の“実動支援”です。
- 家庭訪問(アウトリーチ)
- 生活改善合宿(八王子など)
- 学生寮での共同生活
- 通信制高校のレポート支援
- アルバイト・社会参加の伴走
東京に限らず、不登校・引きこもりの改善には “動ける環境” が必要です。支援者が動き、家庭が動き、子どもが動く──この三つの循環を作るのが当会の強みです。
第7章|7つの支援ステップで見る改善プロセス
当会は「7つの支援ステップ」で子どもの回復を体系化しています。
- ステージ判定(現状の可視化)
- 親のコーチング(関係修復)
- 家庭訪問支援(信頼構築)
- 生活改善合宿・寮(生活リズム改善)
- 学び直し(通信制高校・フリースクール)
- アルバイト・インターン(社会接点)
- 就職・進学(社会復帰)
どの家庭も、この順番を踏むほど改善が早くなります。
第8章|東京の3か月間のデータから見える“改善の兆し”
9〜11月の東京のデータを改めて見てみると、次の傾向が浮かび上がります。
- 相談件数が右肩上がり(24→31→37)
- 面談も増加(18→29→31)
- 訪問支援成功数は毎月1件
- 書籍からの相談も増加(11月に1件)
つまり、「動きたい家庭が増えているが、実際に動ける仕組みが少ない」ということです。
このギャップを埋めるのが、家庭訪問×親支援の2軸なのです。
第9章|成功例に見る“家庭訪問×親支援”の効果
ここでは、当会が支援した成功例から「訪問支援と親コーチングの相乗効果」が分かる事例を紹介します。
・Y子さん(10年引きこもり→保育士→公務員)
家庭訪問と親支援の併用により、10年動けなかった状態から劇的に改善しました。
・カイト君(中1不登校→自衛隊)
家庭訪問と生活改善で生活リズムが復活し、自衛隊へ進路を決定。
・カズキ君(不登校→区役所勤務)
親のコーチングが入ることで、親子関係が改善。
・リョウタ君(家庭訪問→航空自衛隊)
訪問支援により信頼関係を構築し、自信を取り戻しました。
こうした実例は、東京の家庭でも同じように再現可能です。
第10章|まとめ──東京の“相談爆増時代”に必要なのは二軸支援
東京で不登校の相談が加速している今こそ、必要なのは以下の2つです。
- ① 家庭訪問で子どもに直接アプローチする支援
- ② 親が変わることで家庭を整える“親コーチング”
相談だけでは動けない。フリースクールに行けなくても問題ではない。 今必要なのは、家庭に入り、関わり、共に動き出す支援です。
40年以上の支援、1万人以上の再スタートの実績から断言できます。
不登校は必ず解決できます。 見守るだけではなく、“動く支援”を始めれば、未来は必ず変わります。
家庭訪問・親支援の導入を検討したい方は、まずはお気軽にご相談ください。

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