ゴールデンウィーク明け、不登校が一気に増える――この「日本の教育の盲点」に対して、私たちはYouTube番組「Pivot」で警鐘を鳴らしました。
実は、日本の不登校問題は「長期休暇明け」に急増する傾向があります。ところが、国や文科省は根本的な支援策を打ち出せず、子どもたちはそのまま「引きこもり」に陥るケースも少なくありません。
今回の「Pivot」には、『もう悩まない!不登校・ひきこもりの9割は解決できる』で共著した高濱正伸先生、芸人のりんたろーさん。竹内由美さん出演。
40年以上、現場で支援してきた私・杉浦孝宣が、不登校から引きこもりへとつながる構造、そしてその具体的な対策を徹底的に語りました。
不登校や引きこもりは「特別な子」だけの問題ではなく、誰にでも起こり得る社会課題です。この動画を通して、少しでも多くのご家庭が「今、何をすべきか」を掴んでいただければと願っています。
GW明けに起きる“異変” 全国的に不登校相談が急増するのは、5月のこの時期
ゴールデンウィーク明けから、毎年のように不登校相談が急増しています。当会でもこのタイミングでの問い合わせが目立ちます。
長期休暇後の登校再開に伴い、「行きたくない」「体が動かない」「情緒が不安定になる」といった声が保護者から多く寄せられます。5月はその“最初の壁”に直面する時期であり、見逃すと長期引きこもりへとつながることも。
実際に、当会で受けた過去3年間の相談件数(月別)を見てみると、以下のように毎年5月以降に急増しているのが分かります:
年度 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 合計 |
2024年 | 48 | 59 | 52 | 55 | 71 | 69 | 67 | 35 | 52 | 66 | 45 | 31 | 650 |
2023年 | 44 | 47 | 53 | 51 | 53 | 76 | 71 | 65 | 65 | 67 | 56 | 52 | 700 |
2022年 | 56 | 52 | 47 | 51 | 57 | 60 | 65 | 51 | 56 | 53 | 57 | 49 | 654 |
太字で示したように、5月~7月にかけての相談件数が突出しています。特に2023年6月には過去最高の76件を記録しました。
「うちの子だけ?」と感じてしまう5月。でも実は、毎年同じように悩む家庭が急増する“要注意期間”なのです。このタイミングでの早期対応が、将来の引きこもりリスクを大きく減らします。
【9割解決】不登校・引きこもりをYouTube「pivot」で語る
今回のYouTube番組「pivot」出演は、私たちの著書『もう悩まない!不登校・ひきこもりの9割は解決できる』のメッセージを全国に広めたいという番組側の強い想いから実現しました。
制作スタッフの方々が私たちの本を読み、「これは一部の教育関係者や当事者だけに留めるべき内容ではない」と感じ、YouTubeという開かれたメディアで全国に発信することを決意されたのです。
高濱正伸先生と私がこの本で訴えたのは、まさに**「国の不登校対策は機能していない」という現実**です。
現状、文科省の方針では「見守る」ことが推奨されていますが、実際の現場ではそれが「放置」となり、問題を深刻化させているケースが後を絶ちません。
番組では、学校に行けなくなった子どもたちがどうすれば立ち直れるのか、親はどう関わるべきか、そして社会がどう受け入れていくべきかを、具体的な解決策を交えて徹底的に対談しています。
YouTube番組「pivot」を通じて私たちが目指したのは、「家庭でもできる不登校・引きこもり予防」の実践方法を一人でも多くの親御さんに届けること。
不登校を「特別なこと」とせず、早期に・前向きに対応できる社会をつくる第一歩として、今回の出演は大きな意味を持っています。
国や文科省の“支援の限界”とは?見守りという名の「放置」が、未来を奪っていく
国の不登校対策は、現場の実態を無視したまま「形だけの支援」にとどまっており、実際にはほとんどの子どもたちが取り残されています。
まず、現場の先生たちは日々の授業・業務に追われ、不登校児童・生徒への個別対応にかける時間も人手も圧倒的に不足しています。
さらに、多くの学校カウンセラーが口を揃えるのは「不登校は見守りましょう」という言葉。しかし、3ヶ月経っても、半年経っても、ただ“見守る”だけでは、何も変わらないのが現実です。子どもは自力では動けません。
公的な教育支援センター(適応指導教室)の利用率は、わずか約10%。つまり、90%近い子どもたちは、学校にも教育機関にもつながっていない状態なのです。
それでも「対策はできている」と言えるのでしょうか?
不登校を長期間放置すれば、やがて社会とのつながりを失い、引きこもりへと発展します。実際、厚労省の統計でも、
- コロナ前の引きこもり人口:約115万人
- 現在(2024年時点):約146万人に急増
これは単なる「個人の問題」ではありません。社会全体が抱える“国家的課題”です。
国や文科省の「支援の限界」は、すでに現場の悲鳴として表れています。いま必要なのは、「見守る」から「行動する」への転換。家庭・学校・地域が一体となって、支援の手を“今”差し伸べる仕組みが求められています。
統計で見る!当会が把握する不登校・引きこもりの実態 成功率約9割!現場の数字が示す真実
不登校・引きこもりは「支援すれば9割は解決できる」――これは理論ではなく、私たちが日々積み重ねてきた訪問支援と相談対応の実績に裏打ちされた事実です。
多くの家庭が、「学校に行けない=どうしたらよいか分からない」という状態で長期化し、子どもが部屋から出られなくなります。しかし、専門的なノウハウを持った支援者が介入すれば、改善の道筋は必ず見えてきます。
E(データ+表解説):
たとえば、2025年2月~4月の3か月間に当会が受けた相談と支援状況は以下の通りです:
月 | 相談件数 | 面談件数 | 入会件数 | 引きこもり訪問成功数 | 主な地域(東京) |
2月 | 30件 | 9件 | 3件 | 0件 | 26件 |
3月 | 30件 | 15件 | 3件 | 1件 | 15件 |
4月 | 15件 | 20件 | 4件 | 1件 | 9件 |
特に注目すべきは、2017年から2025年4月末までの家庭訪問支援において、
**100件中88件が引きこもり解決、3件が継続中(=成功率約9割)**という成果です。
この成果は、私たちが培ってきた**アウトリーチ支援(家庭訪問型支援)**の成果であり、
支援の「タイミング」「専門性」「関わり方」が整えば、ほとんどの子どもたちは回復できることを示しています。
この支援ノウハウを国や文科省が取り入れれば、不登校・引きこもり問題の多くは解決可能です。
それだけの現場データと成功事例が、すでにここにあるのです。
今すぐできる家庭での第一歩規則正しい生活こそ、立ち直りの起点
不登校や引きこもりから抜け出すための第一歩は、規則正しい生活を取り戻すことです。これはあまりに基本的で、つい軽く見られがちですが、実は最も重要な土台なのです。
昼夜逆転、生活リズムの乱れが続くと、心と体はどんどんバランスを崩していきます。脳が活動モードに入らず、朝起きるだけで「無理」と感じてしまう。こうして一日が始まらず、悪循環に陥るのです。
E(具体例・アドバイス):
実際に、当会の引きこもり支援でも「生活リズムを整える寮生活」や「合宿型プログラム」から立ち直る子が多くいます。
家庭でもできることはあります:
- 毎朝決まった時間にカーテンを開けて光を入れる
- 朝食を一緒にとる習慣をつくる
- 夜はスマホやゲームの使用を23時までに制限
- 「一日ひとつだけでも体を動かす」を意識する
これらのシンプルな取り組みが、「部屋から出られない→一歩踏み出せる」に変わるきっかけになります。
特別なことをする必要はありません。まずは生活を整えることから始めてください。
この“何気ない習慣”が、やがて「登校」「進学」「社会参加」へとつながる大きな転機となります。
親御さんも「今から、今日からできることがある」と信じて、一歩踏み出してみてください。
まとめ 保護者様へ 「見守るだけ」では、未来は変わりません
このブログを読んで「なるほど」と納得するだけでは、現実は変わりません。
本当に大切なのは、“行動する”ことです。
いま世の中には、「不登校は見守りましょう」といった無責任な情報が溢れています。
学校カウンセラーでさえ、何ヶ月経っても同じセリフしか言わない――
その間に、子どもはどんどん部屋に閉じこもり、将来の選択肢を失っていきます。
私や高濱正伸先生のように「積極的に関わらなければ、引きこもりになる」と警鐘を鳴らしている専門家は、残念ながら少数派です。
だからこそ、本気で支援をしたいと考える方には、正しい情報と実践的な支援が必要なのです。
そして、忘れてはならないのが──
お子さんが完全に引きこもってしまうと、国や自治体は“自己責任”として扱うのが現実です。
相談の“窓口”はあっても、実際に動いてくれる人は、ほとんどいません。
あなたのお子さんの未来を守れるのは、あなたの行動です。
このブログで少しでも「何か動かないと」と思ったなら、ぜひ専門家の支援を活用してください。
私たち 一般社団法人不登校・引きこもり予防協会並びに 認定NPO法人高卒支援会は、
40年以上の現場経験を持ち、1万人以上の子どもたちを社会へ送り出してきた実績があります。
私たちと一緒に、一歩を踏み出してみませんか?
“希望は、行動の先にある”――そう信じています。
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