【成功事例あり】「学校へ行きたくない」からの回復|ステージ別対応法

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「学校へ行きたくない」は誰にでも起こる

「うちの子が“学校へ行きたくない”なんて言うなんて…」
そう驚かれる保護者の方も多くいらっしゃいます。でも、実はこの言葉は、どんな子どもにも起こりうる“心のサイン”です。

私は認定NPO法人高卒支援会の会長、一般社団法人不登校引きこもり予防協会の代表理事として、40年以上にわたり1万人以上の子どもたちと向き合ってきました。

その経験の中で、子どもが「学校へ行きたくない」と言い出す背景には、必ず理由があることを何度も見てきました。

文部科学省の統計でも、不登校の児童生徒数は年々増加しています。特に中学生の不登校は2023年度に過去最多を更新し、社会的にも大きな課題になっています。

中でも、2学期のスタートは不登校が増える時期です。夏休み中に生活リズムが乱れたり、部活のトラブルや友人関係の変化があったり、心のエネルギーが回復しないまま新学期を迎えると、学校に戻るハードルが非常に高くなるのです。
また、文化祭や体育祭などの集団行事が苦手な子にとっては、大きなストレスになります。

実際、2025年8月に私たちの協会に寄せられた不登校相談件数は22件でした。
内容の多くは「2学期初日から一度も登校できていない」「修学旅行には行きたい気持ちはあるけれど、登校はできない」といったものでした。
ある保護者の方は、「勉強意欲もあり、受験への希望もあるのに、朝になると動けなくなる」と話してくださいました。


67月8月
相談件数396016
総合入会件数374




総合面談件数206029
書籍からの相談020
内容アウトリーチ支援アウトリーチ支援アウトリーチ支援

転学相談転学相談転学相談

フリースクールフリースクール通信制高校
引きこもり訪問支援成功数021
主な地域


東京335629
神奈川112
埼玉014
千葉000
その他地域221
不明300
合計396022

これは、回復の見込みが高い“ステージ1”の典型的な状態です。
つまり、気持ちはあるのに体が動かない。子ども自身も「このままじゃいけない」とわかっているのです。

親がその言葉を「甘え」と受け取ってしまうと、子どもは自信を失い、ますます自分の殻に閉じこもってしまいます。
でも逆に、「これは助けてほしいというサインなんだ」と受け止めることで、不登校の長期化を防ぎ、回復への一歩を踏み出すことができるのです。

私たちは、どんな子にも「変わる力」があると信じています。
まずは今の状況を否定せず、子どもの声に耳を傾けてください。
それが、支援のスタートラインです。

ステージ判定で“今”の状態を知ることが回復の第一歩

子どもの様子を見て、「これって本当に不登校?」「どこまで深刻なんだろう」と悩まれる保護者の方は多いものです。
そうした不安に対して、当協会では「不登校・引きこもりステージ判定表」を活用し、お子さんの状態を5段階で把握できるようにしています。

たとえば、ステージ1は「学校に行きたい気持ちがある」「勉強も興味がある」状態。
ステージ2になると、「行きたいけど怖い」「自信がなくなった」と自己否定が強くなり、感情の起伏が激しくなります。
さらに進んでいくと、ステージ3では昼夜逆転、無気力、引きこもりが始まり、会話や外出も減っていきます。

8月の相談データでは、ステージ1〜2の子どもが多く、特に「修学旅行には行きたい」「進学も考えている」という前向きな思いを持つ一方、「別室登校は嫌だ」「教室の空気が怖い」という心のブレーキが目立ちました。

こうした状態の子どもたちは、タイミングを逃さなければ、驚くほど短期間で回復する可能性があります。
一方で、見守るだけで対応が遅れると、あっという間にステージ3〜4へ進行してしまうこともあるのです。

お子さんが今どの段階にいるのかを正しく把握し、それに合ったサポートを選ぶこと。
それは、親ができる最も大切な支援です。

「部活を辞めたあと学校に行きたくない」と言った中学生男子の回復まで

中学2年生のRくんは、部活内でのトラブルをきっかけに退部し、その後登校できなくなりました。
勉強意欲はあり、高校進学も希望していたものの、学校に行くことそのものに抵抗感が強くなっていました。朝になると動けず、無言で布団にこもってしまう毎日。お母さんは「こんなに頑張ってきたのに、どうして…」と悩み、当協会にご相談くださいました。

ステージ判定では、Rくんはステージ1。つまり「気持ちはあるけれど、環境やきっかけが整っていないために動けない状態」でした。

そこでまず、担任の先生と連携をとり、登校する時間帯をずらして、朝の短時間だけ静かな教室で過ごせるように配慮。
また、目標設定も「授業を受ける」ではなく、「10分だけ学校にいる」という達成しやすい内容に変えました。
保護者には、子どもを評価する軸を「行けた・行けなかった」から「頑張ろうとした気持ち」にシフトしてもらい、家庭での声かけも見直していただきました。

支援開始から約3ヶ月後、Rくんは週3回の登校ができるようになり、その後は通常登校へと移行。無事に第一志望の高校にも合格し、新たな目標に向かって前向きに取り組んでいます。

「もうダメだと思っていました。でも、あのとき相談してよかったです」
そう語ったお母さんの安堵の表情が、とても印象的でした。

学校に行けない自分はダメ」と自信を失った女子中学生の回復ストーリー

「うちの子、ずっといい子だったんです」
そう語ってくださったのは、中学1年生の娘さんが不登校になったお母さんでした。
きっかけは、友人関係のつまずき。少しずつ学校が怖くなり、教室に入れず、別室登校も拒否。いつしか「私なんか消えた方がいい」とつぶやくようになってしまいました。

お子さんは非常にまじめで感受性が強く、自分の気持ちを外に出すことが苦手なタイプ。自分を責め続け、心の中で「学校に行けない私はダメな子」と思い込んでいたのです。

当会では、同性の支援スタッフが家庭訪問を開始。最初は会話もなかった娘さんですが、「実は私も中学で不登校を経験したんだよ」というスタッフの一言に、ふと目を見開き、小さな笑みを浮かべたことから変化が始まりました。

数週間にわたって定期的に訪問を続けるうちに、彼女は少しずつ自分の気持ちを言葉にできるようになり、週1日のフリースクール通学をスタート。その後、少人数制の高校へと進学し、今では自分の経験を活かして、後輩たちの相談相手にもなっています。

「うちの子、あのとき本当に救われました」と涙ぐんだお母さんの言葉は、私たちにとっても忘れられない一言です。

ステージに合わせた対応が、最短の回復につながる

「学校に行きたくない」と言っても、その背景や心の状態は子どもによってまったく異なります。
親の直感や感情だけで対応してしまうと、かえって悪化することもあります。

たとえば、勉強意欲が残っている段階で「甘えている」と叱れば、子どもは自信を失い、無気力になります。逆に、完全に無反応になった子に「見守っていればいつか…」と期待しても、時間だけが過ぎ、引きこもりが深刻化します。

当協会では40年以上の支援経験から、不登校・引きこもりの状態をステージ1〜5に分類し、それぞれに応じた具体的な対応方法を整備しています。

8月の相談でも、ステージ1〜2の家庭が最も多く、適切な支援を早期に始めたことで回復した事例が多数ありました。

特に東京都・埼玉県からの相談では、学校との連携による別室登校支援や、少人数制教室への転校、ピアサポートなどを取り入れたケースが効果的でした。

お子さんの状態を冷静に見極め、タイミングを逃さず支援を始めることで、半年以内に回復できる可能性は大きく広がります。

「見守る」だけでは届かないこともある

「そっとしておいた方がいいのではないか…」
そう考える保護者は多くいらっしゃいます。確かに、無理に登校を促したり、叱責したりするのは逆効果です。

しかし、「見守る」という言葉には、時に「何もしない」という意味が含まれてしまうことがあります。

実際に、8月の相談者の中には、「夏休み明けに学校に行けなかったが、様子を見よう」と支援を見送ったご家庭がありました。最初はステージ2でしたが、2週間後には昼夜逆転、部屋から出ない状態に進行。最終的には支援再開となりましたが、そこには明らかに時間的ロスがあったとご家族も振り返っています。

もちろん、見守ることが悪いわけではありません。しかし、それが「孤立」や「放置」に変わってしまう前に、信頼できる第三者とつながっておくことが大切です。

お子さんにとっても、「話しかけられる大人がいる」という環境は、心の安心感につながり、変化への一歩を踏み出す力になります。

転校や通信制高校は「逃げ」ではなく「再スタート」

「転校したらこの子の人生終わりですか?」というご相談をいただくことがあります。

結論から言えば、決してそんなことはありません。
むしろ、「その子に合った環境に移る」というのは、よりよい未来に向かうための“戦略的な選択”です。

通信制高校、サポート校、フリースクール、少人数制クラス…。
今はさまざまな学びの選択肢があります。大切なのは、「子どもが無理なく通えるかどうか」「心が安定できるかどうか」。

実際、8月の相談でも「転学」「通信制高校」への希望が多くありました。特に、少人数制の教室で一人ひとりに丁寧に関わってくれる環境へのニーズが高まりました。

当協会でも、転校や通信制高校を通じて回復し、大学進学や公務員として社会に出ている子たちを多数見てきました。

進学先が変わることは「失敗」ではありません。
大事なのは、お子さんが再び「前を向けるようになるかどうか」です。

迷っている今こそ、支援を始めるチャンス

私たちがこれまでに支援してきた1万人以上の子どもたちのうち、最も早く回復したのは、ステージ1〜2の段階で行動したご家庭です。

逆に、「もう少し様子を見ます」「来月になったら…」と判断を先延ばしにしたご家庭ほど、ステージ3〜4へと進行し、回復までの期間が長期化する傾向にありました。

たとえば、10年間引きこもっていたY子さんは、最初の一歩を踏み出すまでに時間がかかりましたが、支援が入ったことで生活が整い、短大を経て保育士に、そして今では公務員として地域の子どもたちを支える側に立っています。

私たちは、どんな状態であっても「変われる力」があると信じています。
ですが、その“きっかけ”は、周囲の大人が作る必要があるのです。

「何から始めればいいかわからない」
そんなときは、どうか一人で抱えず、ご相談ください。

まとめ|「学校へ行きたくない」は終わりではなく、はじまりです

「学校へ行きたくない」と口にしたお子さんは、今、心のどこかで助けを求めているのかもしれません。
それを「甘え」と捉えず、「サイン」として受け止めてください。

そして、親御さんが動いたその瞬間から、回復は始まります。
ステージ1での支援開始が、最短での社会復帰につながることは何度も証明されてきました。

8月の支援実績でも、早期に相談された家庭の多くが、次の一歩を踏み出し始めています。
「うちの子に限って」「まだ早いかも」と思わずに、今、行動することが未来を守る最善策です。

変わりたいと思っている子どもに、変わるための手段を。
私たちが全力でサポートします。

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