みなさんこんにちはスタッフの根本です。
「子どもには将来苦労して欲しくない」と親心で幼い頃から教育に力を入れ、県内トップの進学校に入学すれば、そのまま順調に有名大学に進学することを疑わないでしょう。しかし、その「進学校に入学」と「親の教育熱心」こそが、最大の落とし穴になることもあるかもしれません。本記事では、S君の事例とともに、だれにでも陥ってしまう可能性がある子どもの引きこもりについて書いていきます。
子どもには将来苦労して欲しくないから
子どもには将来苦労して欲しくないから、幼い頃から教育に力を入れるご家庭は珍しくありません。
今回取り上げるS君は、県内で上から数えた方が早い進学校の高校1年生。引きこもり歴半年でした。
ご両親は、長男のS君を、幼い頃から塾で勉強をし国立小学校に入学、その後も塾に通い続け、塾をサボらないように常に車から塾に行っているか監視されながら中学受験の対策を続けていきます。運動の習い事もしており、週に5日間は何かしらしていました。
そして、中学受験では無事第一志望の中学校に合格、部活にも入りご両親もこれで一安心と胸をなでおろしました。しかしS君の引きこもりへの道は既に始まっていました。
勉強がついていけない
第一志望の学校に無事合格したS君ですが、入ってからが大変でした。
元々勉強が好きじゃないS君は親のコントロールにより受験を乗り切ったといえるでしょう。
しかし、毎日の学校生活では進学校特有の課題の多さや学習の難しさから段々とついていけなくなります。学習の遅れは他の学校生活にも支障をきたしていきました。部活にも段々行かなくなり、毎日帰ってきてはすぐに寝るの生活が続きます。中学2年生くらいから親が家にいない時に学校をサボり始めます。しかし、中学は義務教育ということもあり、遅れてもそのまま学校に残ることができました。
高校1年生 夏休み後に不登校
S君は中学3年生の夏休みが終わった9月から完全に学校に行かなくなります。
勿論学校に完全に登校しなくなったS君に慌ててご両親がどうしたのか聞きますが、もう手遅れでした。
S君は完全にご両親をシャットダウンしておりました。
実は小学校から既にS君はご両親を信頼しておらず、中学校からは徐々に会話もなくなっていたのです。まさかそのような状況になっていると思っていないご両親は思春期だからとそこまで会話ができなかったことを気にしていませんでした。
半年間 一切外出せずに 完全に引きこもる
S君は不登校から引きこもりに変わっていきました。学校の先生はもちろん、友人とも連絡を取らず、すべて連絡先を消し、唯一の時間つぶしはスマホでゲームをするだけ。食事の回数も3食から段々減ってあっという間に1食に、ご飯からカップラーメンだけ食べる生活まであっという間の出来事でした。
家に親がいるとストレスで叫ぶ、壁を殴るというったことも始まりました。
引きこもって半年 S君との初めての出会い
9月に引きこもって半年、3月になると、学校を留年するか退学するか転学するかを決めないといけません。勿論、この時点で取得単位数は0です。当時は、この時点で通信制高校に転学しても1年間で取得できる単位数に限りがあり残り2年生で卒業が困難だったため、残り2年で卒業できないのであれば、留年した方がいいのでは?とお父様は思い、学校に留まろうとしました。折角入った学校ですから、辞めるという選択肢はできるだけ選びたくない気持ちもわかります。
しかし、最終的に通うかどうかは本人次第。お母様の意見としては、本人が立ち直ったときに、学年が遅れてしまっているよりもなるべく転学で学年を落とさない方法を取ってあげたほうが良いのではと考え、どちらにしろ今の学校には本人戻れないことから本人不在のまま通信制高校に転学をします。
そして、3月に本人への訪問をスタートしました。
運悪く、トイレに入っていたので、最初の訪問ではトイレに籠られてしまい失敗。しかし、1週間後は部屋にいました。イヤホンをつけスマホでゲームをしていました。髪の毛は腰の辺りまで伸び切っていて髭も生やし放題でやせ細っていました。
こんにちはと声をかけるが聞こえていないのか反応がなく、2~3分ほど話しかけ、床に座っていいか聞くと頷きました。
5分ほどなにも会話をしない状況が続いた後に、イヤホンを取ってくれました。
何のゲームをやっていたのか話しかけ、ゲームの話で5分ほど。自己紹介と趣味の話で15分ほどお話をしました。
なぜ親との会話ができなくなったのか 学校に行けなくなった理由
S君にとってご両親は厳しく、父親は怖いのでそのイメージが強く話しておらず、母親には論理的に話そうとしても一喝され次第に母親に何を言っても無駄だと諦めるように。幼少期からの気持ちが積み重なって今に至ると。
ただ、学校に行けなくなったのは自分のせい。親は関係ないと。
親のせいにするのは甘えだから。
今はフリーターでいい、高校に拘りはない、進学校にいっていたのも親の方針なので、と
現在S君は通信制高校に所属していることを伝え、どこか転校したいといった拘りはあるか聞いたが、ないということで、そのまま通信制高校で卒業を目指すことになりました。
一番大切なのは子どもが親に相談できる関係
S君だけではなく、様々な引きこもりの子どもたちと接してきて感じるのは親子間の仲が悪いご家庭が多いことです。
会話が一切できないという子も珍しくありません。会話ができないと、学校の問題を解決することが困難なことが多く、まずは親子間の問題から解決する必要があることも。
S君が引きこもりとして長期化してしまった問題には親子間で会話ができないというものがありました。そうならないために、子どもが親に相談できる関係性が築けると良いです。勿論、親には相談できないという子もいるので、相談できなくても、親は子どもの味方だということがわかり安心できるよう常に関係を維持していきたいですね。
引きこもりでお悩みの方、親子間で会話ができず困っている方など是非ご相談お待ちしております。
