こんにちは、学力会の石井です。
近畿地方では、もう、木枯らし1号が吹いたらしいですね。着実に冬へと近づいているのですね。早く夏になってほしい石井です。
先週書いた「読書の秋 石井お薦めの本」が好評でしたので、今週もまたご紹介をしていきたいと思います。文系担当の腕が鳴ります!!
さて、本日は、金城一紀さんの「GO」という作品です。こちらは、窪塚洋介さん・柴咲コウさんの主演・助演で映画化もされましたので、そちらでご存知の方も多いかもしれません。原作は小説なのであります。私がこの本をお薦めするわけは、作品の主人公が、いわゆる「民族問題」に揺れる純粋な心の持ち主だからです。
しかし、はっきり言って、この小説を中学生の皆さんにお薦めすることについて、私はひどく悩みました。この小説で書かれていることを突き詰めていくと、かなり難しい問題になってくるからです。
主人公の杉原は、日本の普通高校に通う3年生の男子ですが、在日韓国人です。ある日、杉原は友人である加藤の開いたパーティで桜井という日本人の風変わりな少女と出会います。二人の恋愛のスピードがぎこちなくも加速しだした時、杉原が唯一尊敬している友人であったジョンイルが、些細な誤解から日本人高校生に刺されて命を落としてしまいます。親友を失ったショックに愕然としながらも、同胞の敵討ちに向かう仲間には賛同できない杉原は桜井に救いを求め、勇気を振り絞って自分が在日韓国人であることを告白するのです。
みなさんは、好きな人や大切な友人の「国籍」なんて気にしますか?
どこで生まれたかなんて、真の友情や愛情の前では全く関係ないはずです。
しかし、多感な青年の杉原は、自分が「外国人」として日本で生きていくことについて大変悩み、自身のアイデンティティとは一体なんなのだろうかと考え込んでしまいます。
私は、皆さんにこの本を読んでもらって、何か大げさな主張を繰り広げたいわけではありません。
世の中には、たくさんの「視点」や「立場」や「考え方」がありますが、そういったことを考えてもらいたいわけでもありません。
なんの気なしに、いっさいの他意もなく、ただ読んでもらいたい。それだけです。