学齢期の不登校・引きこもりは親が一枚岩になれば解決へ進む|アウトリーチ114名・成功94名の実践
見守るだけで、新学期を迎えますか?――アウトリーチ114名の実践から分かった、親が一枚岩になる重要性。
認定NPO法人高卒支援会会長の杉浦孝宣です。
新学期を前に、「本人がその気になるまで待つべきか」「朝は起こすべきか」「スマホやゲームをどうすればよいのか」と迷う保護者は少なくありません。
私は40年以上にわたり、不登校・高校中退・引きこもりの本人と家庭を支援してきました。その経験から、学齢期の不登校・引きこもりでは、保護者が現状を正しく認識し、父母が一枚岩となって家庭の生活環境を整え、必要に応じて第三者が本人へ直接関わることで、解決へ進めると考えています。
単に、本人の気持ちが変わるまで待つことではありません。
この記事でお伝えすること
- 新学期を見守るだけで迎えることのリスク
- 直近3か月の相談内容から見える保護者の困りごと
- アウトリーチ114名・成功94名という実践結果
- 失敗18名から見えた、父母が一枚岩になる重要性
- 朝、スマホ、ゲーム、課金を家庭でどう扱うか
- 第三者の支援を急ぐべき段階
直近3か月の相談実績から見えること
認定NPO法人高卒支援会には、高校転校、不登校、昼夜逆転、引きこもり、フリースクール利用、家庭訪問支援など、多様な相談が寄せられています。
2026年6月から8月までの相談集計は、次のとおりです。
| 項目 | 6月 | 7月 | 8月 |
|---|---|---|---|
| 相談件数 | 40件 | 38件 | 18件 |
| 総合入会件数 | 4件 | 2件 | 1件 |
| 総合面談件数 | 20件 | 17件 | 9件 |
| 書籍からの相談 | 1件 | 0件 | 0件 |
| 引きこもり訪問支援成功数 | 0件 | 0件 | 1件 |
相談内容は、6月には高校転校、アウトリーチ支援、フリースクールが中心でした。7月には高校転校、引きこもり、フリースクール、8月には昼夜逆転、引きこもり、フリースクールに関する相談が中心となりました。
| 主な相談内容 | 6月 | 7月 | 8月 |
|---|---|---|---|
| 相談内容1 | 高校転校 | 高校転校 | 昼夜逆転 |
| 相談内容2 | アウトリーチ支援 | 引きこもり | 引きこもり |
| 相談内容3 | フリースクール | フリースクール | フリースクール |
地域別では、3か月を通じて東京都からの相談が大半を占めています。
| 地域 | 6月 | 7月 | 8月 |
|---|---|---|---|
| 東京 | 32件 | 36件 | 16件 |
| 神奈川 | 1件 | 0件 | 0件 |
| 埼玉 | 1件 | 2件 | 1件 |
| 千葉 | 1件 | 0件 | 0件 |
| その他地域 | 2件 | 0件 | 1件 |
| 不明 | 3件 | 0件 | 0件 |
| 合計 | 40件 | 38件 | 18件 |
この集計だけで月ごとの増減の理由を断定することはできません。しかし、夏休みから新学期へ向かう時期には、昼夜逆転、引きこもり、学校復帰や進路への不安が、家庭の中でより深刻な課題として表面化しやすいことが分かります。
見守るだけで、新学期を迎えてよいのか
一時的な休息が必要な場合はあります。しかし、昼夜逆転、長期欠席、親子の会話の減少、スマホやゲーム中心の生活が続いている場合、見守るだけでは状態が固定されることがあります。
学齢期では、保護者が生活の基準を示す役割を担います。決まった時間に起こす、食事を整える、夜間の通信・ゲーム環境を見直す、日中の役割や外出の機会をつくることは、本人を責めるためではありません。本人が再び生活、学び、社会との接点を取り戻すための家庭環境をつくることです。
まず、本人と家庭がどの段階にいるのかを整理してください。家庭で生活を整えられる段階なのか、第三者の支援が必要な段階なのかで、取るべき対応は変わります。
リストカット、家庭内暴力、激しい暴言、児童相談所の介入、自傷や希死念慮、重い心身の症状がある場合は、緊急事態として捉える必要があります。安全を最優先に、警察、児童相談所、医療機関などの関係機関と連携しながら、解決を目指します。
アウトリーチ114名の実践結果
認定NPO法人高卒支援会における、JADA監修のアウトリーチ支援114名の集計は、次のとおりです。
| 区分 | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
| 成功 | 94名 | 82.5% |
| 失敗 | 18名 | 15.8% |
| 継続中 | 2名 | 1.8% |
| 合計 | 114名 | 100% |
成功率82.5%は、全体114名に対する成功94名の割合です。この数値は、アウトリーチ支援に限った集計です。
私が40年以上にわたり、不登校・高校中退・引きこもりの本人と家庭を1万人以上支援し、9割以上の解決実績を積み重ねてきたこととは、対象と集計範囲が異なります。両者を混同するべきではありません。
また、私たちが考える解決は、復学や合格だけではありません。
生活を立て直す。
本人との接点を回復する。
外へ出る。
学び直す。
進学、アルバイト、就労へ進む。
自分で考え、選び、行動する。
こうした変化を重ね、教育・勤労・納税を通じて社会とつながり、自分の人生を歩める状態を目指します。
失敗18名から見えた、最も大きな要因
アウトリーチ支援で継続できなかった18名について、最も大きな要因は、保護者が途中で諦めてしまったことです。
そして、その背景には、父母の考え方や対応がそろわず、保護者が一枚岩になれなかったことがありました。
これは保護者を責めるための指摘ではありません。不登校・引きこもりが続く家庭では、母親だけが本人を起こし続け、父親は仕事を理由に関与しない、あるいは父母でスマホ、ゲーム、学校への対応が違うことがあります。
父親は厳しく言うが、母親がすぐ例外を認める。
母親は生活改善を求めるが、父親が本人へ無関心である。
一方がゲームを制限し、もう一方が課金する。
一方が登校を促し、もう一方が無期限の見守りを認める。
このような状態では、本人に一貫した基準が伝わりません。
親が一枚岩になるとは、厳しくすることではない
親が一枚岩になるとは、本人を追い詰めることではありません。父母が同じ事実を見て、同じ目標を持ち、家庭内で一貫した生活の基準を示すことです。
まず、本人と家庭の現在地を父母で共有します。次に、生活を立て直し、本人が再び学びや社会参加へ進むという目標を共有します。
そのうえで、起床、就寝、食事、スマホ、ゲーム、課金、小遣い、学校との連携について、家庭の基準を決めます。役割分担を明確にし、例外をつくらず、本人へ同じメッセージを伝えることが大切です。
親だけが変わればよいわけではありません。本人だけを支援すればよいわけでもありません。保護者が対応をそろえ、必要に応じて本人へ直接関わることが必要です。
家庭の生活環境をつくっているのは保護者です
学齢期の子どもに対して、スマートフォン、通信回線、ゲーム機、ゲーム課金、食事、住居、小遣い、娯楽、学校や塾の費用などを用意し、費用を負担しているのは基本的に保護者です。
スマホ漬け、ゲーム漬けの状態が続いている場合、本人だけを責めても解決しません。昼夜逆転しても生活と娯楽が無条件に保障される家庭環境を見直し、本人が生活を立て直す必要性と機会を取り戻すことが必要です。
これは、保護者を責めるための話ではありません。生活資源を提供している保護者だからこそ、今日から家庭環境を変える力があるということです。
朝は継続して起こし、生活の基準を取り戻す
「本人の意思を尊重する」という理由で、昼過ぎまで寝かせ、夜中までスマートフォンやゲームを認めることは、生活改善にはつながりません。
学齢期であれば、保護者には生活の基準を示す役割があります。
- 決まった時間に継続して起こす
- カーテンを開ける
- 朝食を用意する
- 昼寝を長時間させない
- 夜間の通信・ゲーム環境を見直す
- 日中に外出、学習、家庭内の役割をつくる
- 一日や二日で諦めず、繰り返す
ただし、怒鳴る、暴力を使う、危険な方法で無理に起こすことを意味しません。リストカット、家庭内暴力、自傷や希死念慮、重い精神・身体症状、服薬の影響が疑われる場合は、安全確保と関係機関との連携を優先してください。
Stage 3以上は、家庭だけで抱え込まない
親と話さない。昼夜逆転している。ゲーム漬けである。入浴や身だしなみを避ける。部屋から出ない。食事を親が部屋へ運び続けている。
このような状態が続く場合は、家庭内の働きかけだけでは動きにくくなっています。保護者の対応を整えることに加え、本人へ直接関わる第三者の支援が必要です。
家庭訪問、生活改善、学び直し、外出や社会との接点づくりを通じて、本人が再び動き始めるきっかけをつくります。
Stage 3以上でお困りの方は、認定NPO法人高卒支援会へご相談ください。
まとめ|親が諦めない限り、私たちも諦めません
学齢期の不登校・引きこもりは、本人の気持ちが変わるまで待つだけで、解決へ進むものではありません。
保護者が現状を正しく認識し、父母が一枚岩となり、家庭の生活環境を整え、必要に応じて第三者が本人へ直接関わることで、状況は変えられます。
現在の引きこもった姿が、その子の人生の結論ではありません。本人には、生活を立て直し、人とつながり、学び、働き、社会へ参加する力があります。
親が諦めない限り、私たちも諦めません。
よくある質問
1. 見守るだけで新学期を迎えてもよいですか?
一時的な休息が必要な場合はあります。しかし、昼夜逆転、長期欠席、親子の会話の減少、スマホやゲーム中心の生活が続いている場合、見守るだけでは状態が固定されることがあります。
まず現在地を整理し、家庭で生活を整えられる段階なのか、第三者の支援が必要な段階なのかを確認してください。リストカット、家庭内暴力、暴言、児童相談所の介入、自傷や希死念慮、重い心身の症状がある場合は、緊急事態として捉え、安全を最優先に関係機関と連携します。
2. アウトリーチ114名の成功率82.5%とは、どのような集計ですか?
認定NPO法人高卒支援会における、JADA監修のアウトリーチ支援114名の集計です。内訳は、成功94名、失敗18名、継続中2名です。
成功率82.5%は、全体114名に対する成功94名の割合です。この数値はアウトリーチ支援に限った集計であり、40年以上・1万人超・9割以上の解決実績とは対象と集計範囲が異なります。
3. 失敗18名に共通した要因は何ですか?
最も大きな要因は、保護者が途中で諦めてしまったことです。その背景には、父母の考え方や対応がそろわず、保護者が一枚岩になれなかったケースがありました。
保護者を責めるためではありません。家庭の基準を整え、必要な働きかけを続けられるよう支えることも、私たちの重要な役割です。
4. 父母が一枚岩になるとは、具体的に何をしますか?
本人の現在地と解決の目標を父母で共有します。そのうえで、起床、就寝、食事、スマホ、ゲーム、課金、小遣い、学校との連携について、家庭の基準をそろえます。
役割分担を決め、例外をつくらず、本人へ同じメッセージを伝えることが大切です。
5. 朝、本人を起こし続けるべきですか?
学齢期では、保護者が生活の基準を示すことが必要です。決まった時間に継続して声をかけ、カーテンを開け、朝食を用意し、昼寝や夜間のスマホ・ゲーム環境を見直します。
ただし、怒鳴る、暴力を使う、危険な方法で無理に起こすことは行いません。自傷や家庭内暴力、重い精神・身体症状がある場合は、安全確保を優先します。
6. スマホ・ゲーム・課金はどう扱うべきですか?
本人だけを責めるのではなく、保護者が提供している通信回線、ゲーム機、課金、小遣いなどの生活環境を見直します。
生活に必要な支援と、昼夜逆転や孤立を固定する娯楽の無条件な保障は分けて考える必要があります。父母で基準をそろえ、夜間利用、課金、利用時間、家庭内の役割を一貫して決めてください。
7. Stage 3以上では、なぜ第三者の支援が必要ですか?
Stage 3以上では、親と話さない、昼夜逆転、ゲーム漬け、入浴や身だしなみを避ける、部屋から出ないなど、家庭内の働きかけだけでは動きにくい状態が見られます。
保護者の対応を整えることに加え、家庭訪問、生活改善、学び直し、外出や社会との接点づくりなど、本人へ直接関わる支援が必要です。
8. 本人が相談を拒否していても、保護者だけで相談できますか?
はい。保護者だけで相談できます。本人が相談を拒否している段階では、先に保護者が現状を整理し、父母の方針をそろえることが重要です。
家庭で整えること、急ぐべきこと、第三者の支援が必要かを確認し、本人が再び生活、学び、社会との接点を取り戻す道筋を考えます。


